金子のおばあちゃん


隣り、といっても50メートルは離れている。その金子のおばあちゃんが、夕方近く満面の笑顔でやってきた。
「今日、ビワをちぎりに行ったもんなあ。そんで、これはおすそわけ」
袋はもう一つある。
「これは今とってきたうちのキュウリ。ゆんべの『ためしてガッテン』は、見らいたろか。なんせ、キュウリのフライば作って見せらいたと。小麦粉ば溶かしたもんにキュウリばつけて、パン粉ばつけてフライにする。これがパリパリコリコリの、なんともうまそうじゃって」
「うちにはパン粉がなかけん、今夜てんぷらにしてみようと思って」
「パン粉ならあるよ。ちょっと待ってて」
パン粉の一袋を渡したら、
「うちは爺さんと二人だし、こんなにはいらん。それにおたくのパン粉がなくなる。半分でよか」

金子のおばあちゃんは、80歳をを過ぎている。それが、まるで少女のように嬉しそうに話す。
話しは、タヌキに変わった。
「うちの裏に魚の骨ば入れた鍋ばおいとったら、鍋ごとなくなったもんな。それでタヌキが持っていったんばいと思っとったら、4か月して返してあった」


夕方になるとこの花が咲く。で、太陽の光に萎れてしまう。
月は半分というところ。