三月の夢
憂鬱な日が続いている。
それで、こんな夢を見、こんな詩を書くのだろう。
針の山に登れ
針の山に登れ
針の山からこの光景を見よ
かって生きていた亡霊たちよ
海は黄色く乾いて
風化した珊瑚が砂に混じり
どこまでも続く
川はかっての痕跡だけを残し
川底の石はむき出しで
苔の痕跡もない
空は灰色の紙のようにあり
山は枯れ
鳥の気配もない
地上はいたるところで陥没し
穴ぼこには
干乾びた蛙とアカテガニの死骸
一滴の水もない世界
地上の水は一瞬のうちに蒸発した
動物の水分も植物の水分も奪われた
針の山に登れ
針の山からこの光景を見よ
かって生きていた亡霊たちよ
なぜこうなったのかは問わない
一切は
人間のしたことであるのだから