違和感のある春
この冬の寒さを生き延びたスミレが、最も多くの花をつけている。不死身のスミレと呼ぼうか。
にしても、この春はどこか変だ。
6年前に東北で地震と津波があった。そして、原発が壊れた。
実は、その前の年の12月が僕の釣り納の時となった。ほぼ毎週のように行っていた魚釣りにこの時から行かなくなった。足が向かなくなったのだ。
魚釣りは、海と対話しながらするものだ。
「やあ、海、今日も元気か」というように。
ところが、この時から海の表情が変わった。
固く、暗い、不気味な意思疎通不能の海に変わってしまった。
あぁ、これだったのか、と思った。
で、今年の春だ。
タラの木が芽を出したが、そのトゲさえ、例年より硬く鋭いように思える。