新年会・苓北



「ブリが獲れたので明日、新年会をしようと思います」
電話があったのが日曜日だ。
旧正月でもあるし、ま、いいか。
それに、苓北には別件の用事もあるし。

大皿に盛られた刺身は、ブリ尽くしだった。
途中で中座したシゲキさんは、ブリの「にぎり」をつくり始めた。
囲炉裏では、イノシシ鍋。

まずもっての話題は、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の世界遺産登録延期の話。
このことについては、先日獣医の悟郎さんが家にきて熱く語っていった。
「あいつら、なんにも分っとらん」と悟郎さんは言う。
「わしは5年も6年も前から言うとる。明治になって禁教令が解けて復活したのは、自由、平等、民主主義じゃない。それらは思想だ。それも、1789年のフランス革命まで待たねばならない。1500年代の後半から明治に至るまでの弾圧の中で隠れキリシタンたちは何を守り、どんな希望をつないできたのか、そのことの検証なしには世界遺産も何もない」

天草の崎津地区では、増えるであろう観光客を見込んで駐車場が整備された。
ボランティアガイドの育成も始まった。
今回の延期は、こうした一連の動きが肩透かしを食った格好だ。


写真は、苓北からの帰りの、やや荒れた海。