ちびっこギャング


ときどき子どもたちの一団がやってくる。


この子たちは、今年小学校に入学したばかり。一年二組の仲良しさん、とか。
なにしろ、けたたましい。
「キャハハハハ」
鼓膜が破れるような高い声で笑う。
「AKBって知ってる?」
「知らないよ」というと、
「キャハハハハ」だ。そのほか、最近のテレビで話題の人物を聞いてくる。うちはテレビを見ない。だから、子どもたちのいうほとんどを知らない。そのたびに、
「キャハハハハ」の洗礼を受ける。
そのうちに、
「竹トンボ、作りたい」と言って、ナイフで竹を削りはじめる。
「ノコギリで木が切りたい。どれを切っていい?」
適当に木をわたすと、切り始める。この子は、ほとんど初めてノコギリを持つのではないか。めちゃくちゃにノコギリを動かしている。
「そうじゃない。ゆっくり切るんだ」
子どもの手をとって、一緒に引いてやる。
「こうやって、ゆっくり、ゆっくり」
子どもは納得する。そう、急ぐことはない。君の時間はまだいっぱいある。