いみる


「いみる」は、満ちることです。
たとえば、父親が子どもに昔話を語っています。
ひとつの話が終わると子どもは「もっと」とせがみます。
父親は次の話を始めます。それが終わると子どもはまた、
「もっと」とせがみます。脇で聞いていたおばあさんが、
こういうのです。
「もう、いみるほど、聞いたもね」
子どもは、おばあさんのいう「いみる」の意味を、
潮が入り江に満ちてきて、やがて、入り江をいっぱい
にしてしまうイメージと重ねます。


 最近「いみる」とは、心の状態を指すのではないか、
と思っています。
 「よろこびやかなしみが心にいっぱいになること」


 私の方言辞典には、そう書き込もうと思います。