久々のシャンプー


久しぶりに髪を洗った。
この前洗ったのは、12月10日だった。その前は、11月5日。
寒波襲来中のなか、決死の覚悟で髪を洗った。髪を洗うことに集中しすぎて、髭をそるのを忘れた。
そんなものだろう。

そういえば、以前書いたものに風呂嫌いのじいちゃんを書いたのがあった。
こんな話だ。



    じいちゃんが風呂嫌いなわけ


じいちゃんは風呂が嫌いだ。
今は一週間に一回、ばぁちゃんと温泉に行っているけど、一ヶ月入らなくても平気だと言っている。
じいちゃんはこう言う。
「いいか、キョンキョン。風呂に入るにはまず、服を脱がなくてはいけない」
そりゃそうだろ。
「若い頃、都会に住んでいた。アパートだ。もちろん、風呂はない。すると、銭湯に行くことになる」
ふん、それで。
「で、だ。ここからが問題だ」
服を脱いで、銭湯に入る。それだけのことじゃないか。
「服を脱ぐというのは、裸になることだ」
それで?
「番台に金を払って、脱衣場の前に行く。ところがここが銭湯だという保証はどこにもないじゃないか」
「銭湯じゃなければどこなのさ」
「街の真ん中かもしれない」
「あのね、じいちゃん。そういうのを強迫神経症っていうんだ」
「むつかしい言葉を知ってるじゃないか。将来、医者になるか」
「なんないよ。おれは風来坊になるんだ」
「風来坊のどこがいい」
「風とともに来て、風とともに去る。最高にかっこいいじゃん」
「じいちゃんの遺伝子か」
「武闘派のばぁちゃんの遺伝子も半分]
「そっか。やっぱ、じいちゃんとばぁちゃんの孫か」
「しょうがないじゃん。おれだってさ、学校へ行く途中の電柱にタッチしていくんだ。今、はじめて話すけど」
「なんで電柱なんかにタッチする?」
「理由なんてないよ。たぶん、落ち着くんだろうな。タッチし忘れた電柱があると、引き返してタッチする」
「困ったな」
「なんでさ」
「いや、その昔、じいちゃんも同じことをやっていた」
じゃ、将来、おれもじいちゃんみたいに風呂嫌いになるのか。風呂場で服を脱ぐたびに、ここはほんとうに風呂場か、と考えてしまうのか。いやだ、いやだ。
「まあ、そんなに考えるな。じいちゃんだって、60歳まで生きた。何とかなるもんだ」
そうかね。おれはやっぱり武闘派のばぁちゃんに近づこう。