占い師聞き書き


2019年になりました。
おめでとうございます。

年頭からアベのウソの洗礼を受けてしまいましたが、お変わりありませんか。
まったく、ウソよけ帽子やウソよけコートが必携になりました。
でも、いましばらくの辛抱です。わたしの占いでは、遅くとも来年の3月まで、とでております。なにがって?アベの寿命ですよ。もっとも、存在自体がゾンビですから、どこで復活してくるかわかりませんが。



     占い師聞き書き

 
 好きなんですな、特効薬が。それだけ、たいていの人がどこかおかしいところ、抱えているんでしょうな。
 ガンに効く、なんてことになったら、そりゃもう大変ですわ。
 わし、な、本業は占い師なんです。よっく当たりますぜ。
 占なうゆうのは、手相、人相、姓名などなど、ま、いろいろありますけども、わしがいちばんに見るのは目なんです。昔から「目は心の窓」といいますやろ。もっとも、わしにいわせると、窓というよりも扉ですわ。
 わしの前に座った人の目を虫眼鏡でようく見ます。いやあ、その人のいろんな情報がわしのなかへ飛び込んできます。けど、そのままでは雑然としていて何のことか分かりません。ここからが、わしの占い師としての本領発揮ですわ。
 まず、情報を時系列的にざっと整理します。そしたら次は、分類です。項目は、5つ設定してます。第一に、不安。次によろこびがきて、かなしみとつづき、苦しみがあって、最後に希望です。
 なぜ、最初に不安がくるかというと、たいていの人は、この不安に行動の多くを決定付けられているんですわ。まあ、考えてもみなさい。わしら、子どものときから不安をあおられて大きゅうなっとるんですわ。
「あんたはあるがままのあんたでいいのよ」とは、だれもいってくれない。もっと、勉強しなさい、もっと、努力しなさい、もっと、力を尽くしなさい、やればできるはずよ、と。
 でも、こんなのはまだ、かわいいほうですぜ。ひどいのは、生命保険と年金ですな。病気になったらどうします?事故で働けなくなったらどうします?もし、あなたが死んだら、残された家族はどうします?老後は不安ではありませんか?
 ばかやろう!ネコに保険があるか、犬がもらう年金があるか!と、啖呵を切れる人は幾人いますかい。
 つまり、こういうことです。みんな、今生きているこの自分への執着がものすごいんですわ。ところが、執着すればするほど死というもの、つまり、この自分の消滅のときですな、その影も濃くなっていきます。なんせ、生と死は、いっつも二人三脚ですからな。
 さて、そういうことですわ。現代の社会を覆っているものの、おおもとが生存の不安なんです。そこで、その不安を解消するゆうのが本来、政治なんです。ところが、政治は機能不全ですわ。それどころか、どうやって民衆から金を搾り取ろうかと、もうそればっかり東大出の官僚が頭つき合わせて考えているのが現状です。羊頭狗肉いいますか、中身が何にもないんです。
 特効薬と宝くじが売れるわけですわ。

 わしとこもだいぶ様変わりしました。以前やったら、「あの、わたし、結婚できますか」、「もし、できたとしたら、その人は北の人でしょうか、南の人でしょうか」と、実に素朴で可愛かったもんです。
 今はこうです。
「結婚とかじゃなくて、今のオトコが合ってるかどうか、占ってほしいんですけど。合ってないとでたら、即、お付き合い中止のメール入れますから」
 こわいんですよ。
「あ、それから、占いのおっちゃんの携帯、教えて。持ってんでしょ、携帯ぐらい。当っても、外れても電話するからね」
 わし、もう、この商売、やめようか思います。